兵庫県たつの市の情景
さて、今日訪れたのは兵庫県たつの市。
龍野城の城下町として、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている場所へ。
播磨の小京都なんて言われてたりもする。
資料館や武家屋敷など、そのほとんどが無料で拝観できるのがうれしい。
旧ヒガシマル本社、薄口龍野醤油資料館
で、やってきたのはヒガシマル醤油株式会社と書かれたこの建物。
昭和7年に建てられたヒガシマル醤油の旧本社なんですが、この建物を利用し、薄口龍野醤油資料館として一般公開をされているんですね。
この界隈は薄口しょうゆの製造が盛んで、ヒガシマル以外のしょうゆ蔵もたくさんあり、大正13年に建設された龍野醤油同業組合旧組合事務所なども一般公開をされている。
で、この薄口龍野醤油資料館の入館料はなぜだか10円。
なぜ10円なのか、資料館の人に尋ねるの忘れてたわ。
入館料は10円なんだけど、これがなかなかどうして、結構広くて見応えがあるんだよなぁ。
建物のしょうゆ蔵も凄いんだけど、古い道具や資料も綺麗に展示されている。
研究開発で使用していた遠心分離機やら、ビーカーやらも昭和レトロな感じで面白い。
こんな古い機械や古い研究道具って良く残っていたもんだわ。
これがまた懐かしい。
昭和レトロ好きにはたまらんよ。
私が子どもの頃は酒屋さんが醤油を持って自宅まで来てくれたものよ。
サザエさんの三河屋さんみたいな感じで。
(って今のサザエさんは知らないんだけど、まだ三河屋さんってあのままの設定なのだろうか・・・)
当時の広告なども展示されているんだけど・・・
「宝塚歌劇 一月花組公演」って書いてあるのだけど、これって宝塚歌劇のプログラムパンフなんだろうねぇ。
こちらが、この資料館の案内図。
結構すごいでしょ。
北大路魯山人の東京の濃口しょうゆのディスりがエグイわ
で、美食家である北大路魯山人がこの薄口しょうゆをしつこくお勧めし、東京の濃口しょうゆをこき下ろす文章が展示されていたのだけど、これがなかなか・・・
そこまでいうか的な。
今日は簡単に薄口しょうゆの話をしてみたいと思う。
なぜなら、よい料理を作ろうとするには、しょうゆは重大問題だからだ。
東京人は、主として濃口しょうゆをもって調理をするが、これは深く考えて欲しいものだ。
関西の料理は薄口しょうゆを用いているが、関東に昔から伝わる江戸料理は薄口しょうゆのあることさえ知らないようで、関西龍野の薄口しょうゆなどほとんど利用されていない。
東京人の口福のためにまことに惜しいことだ。
全くここが大事なところなのである。
近年東京にもだんだん関西料理が侵入し、江戸前料理が次第に衰えて来た原因の一つに、調味料としての薄口しょうゆを用いなかったことがあげられよう。
ひと口にいうと、薄口しょうゆはものの持ち味を殺さない特徴がある。
東京のしょうゆだと、ものの持ち味を殺してしまう危険がある。
もう一つは、視覚的にも薄口しょうゆは白いので、美しく、煮たものが黒くならない。
東京のしょうゆは黒いので、ものによっては見た目の美しさが失われる。
味覚の優れた料理人は必ず薄口しょうゆを用いる。
以上の理由で、気の利いた料理にするには、必ず薄口しょうゆを用いなければならない。
薄口しょうゆは濃口しょうゆよりもずっと価いが安く、味がうまい。
薄口しょうゆがないのなら止むを得ないが、求めればあるのだから、その点を充分注目して、薄口しょうゆに対する認識を改めねばなるまい。
普通吸物を作る時に、東京料理は薄口しょうゆを知らないために塩を用いる。
それも一概に悪いとはいわないが、塩からい、味のないものになってしまう。
それも一種の味には違いないが、薄口に越したことはない。
ものを煮るにも濃口では味があくどく重くるしくて、サラッと気の利いた高尚なものにはなりにくい。
今後、料理をやるにはぜひ薄口しょうゆをご利用なさるようお勧めする。
薄口しょうゆは、やかましくいうと、うんと白いものもあるし、水の中に一滴濃口をたらしたようなビールくらいの色のもあるし、それよりもちょっと濃いのもある。
それがいちばん味がよい。
東京ではどこでもというふうに薄口しょうゆは手にはいらないが、築地本願寺前の食品市場へ行くと、大阪・京橋という特別食品を売っている店がある。
まだほかにもあるだろうが、そこへ行けば大概ある。
くれぐれもいっておくが、東京のしょうゆよりも安くて塩分があるから、結局半値でできる経済的な利点がある。
実際、濃口よりも味もよく、効果もあるのだから、ぜひ利用されるように念を入れて申し上げる次第だ。
全くこのしょうゆが手に入らないと、料理に手を下せないというほど効能のあるものだ。
わたしなど、うまい料理をしようと思っても、これがないと、絶対に料理にならない。
ところが、意外なことには、京、大阪に東京のしょうゆが入りこんでいる。
これは料理に自覚がないために起こるあやまちであって、このことは日本中の料理をメチャメチャにしている。
かてて加えて、近頃は化学調味料というものが流行して、味を混乱させている。
単純な化学調味料の味で、ものそれぞれの持ち味を殺してしまうことは全く愚かなことというべきだ。
よいものがよく見えないで、悪いものがよく見えるのは単に料理だけに限らない。
この傾向は今日の日本のあらゆる面にはびこっている。
そしてこの事実は、日本の価値を低下させている。
料理するひとは、料理に対する深い自覚と反省がなければならない。
(昭和8年 「魯山人の料理」より)
北大路魯山人
武家屋敷だとか
薄口龍野醤油資料館の近くには、これまた無料で入れる武家屋敷などもあったりする。
このガラス戸の家紋の影は冬場の太陽が南に傾いた時しか現れない影なのだそうで。
わざわざカメラを持ってこの影を撮影しに訪れる人もいるのだとか・・・
なんだか蔵と母屋と離れが密着しているような不思議な建物。
これは一般の方のお宅っぽい。
兵庫県たつの市は寅さんの撮影が行われた場所でもある。
昭和51年7月に公開された「第17作 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」
はたつの市が舞台。
昭和51年って私はまだ4歳かぁ。
ちなみに「夕焼け小焼けの赤とんぼ」の歌詞で有名な童謡「赤とんぼ」
この曲を作曲した三木露風は故郷である兵庫県たつの市の情景から作ったのだとか。
赤とんぼもたくさん飛んでいたわ。
なんか今日はいろいろと勉強になったなぁ。
ということで、今日はこれまで。
ではでは。
ちなみに兵庫県たつの市にはこんなスポットもあるよ。