本屋さんで平積みをされていたのを見て、面白そうだったので購入。
ルポ西成~七十八日間ドヤ街生活~
國友 公司 (著)
これがすこぶる西成、釜ヶ崎の現在の裏社会事情がよく分かるいい本だったわ。
たった1日で読了するほどの本ってここ数年なかったよなぁ。
それほど集中して読みふけってしまった。
著作者は若手のライターさんなので理屈っぽい話などもなく、西成の飯場に潜入して、そこで出会った人達の生い立ちや、生き方、西成での生活を素直に語られている。
まるで日記を読むような感じ。
私は西成を散歩することも多く、通勤時には新世界を通って通勤をする。
たまにあいりん地区・釜ヶ崎のホルモン屋で酒を飲むこともあるし、そこの常連客と話し込むこともある。
で、やはり釜ヶ崎では思わず二度見をしてしまう光景をよく見かけるわけだが・・・
この看板はわりと有名。
「居酒屋で覚醒剤を売るな!」
ほんとかよ!って感じなんですが・・・
このルポ西成を読むと、ほんとどころか、かなりの頻度で、注射器があちらこちらにあるそうだ・・・
で、こちらは私が朝の通勤時に前を通る、新世界国際劇場。
この劇場の地下がかなりディープなハッテン場になっているらしく、著者が潜入してみた光景がこれまた本当かよいうぐらい、私の知る新世界とかけ離れていた。
まぁ朝から女装して歩いている人は何度も見かけてはいたが・・・
コロナ禍で緊急事態宣言期間であった時期の国際劇場の貼り紙が面白く・・・
お茶目な印象だったのだが・・・
ちょっとこのルポを読んで印象が変わったわ。
さすがに身分証明書がなくても仕事ができる西成なだけに、素性の分からない人が全国から集まってくるのだろう。
逃亡犯や前科者、現在進行中のシャブ中、ギャンブル中毒者などなど。
そんな訳あり者が集う飯場で一緒に暮らし、その人の素性を探るとビックリするようなエピソードがある。
西成に来る前は原発事故後のフクシマで解体作業をしていたという人。
放射能で立ち入り禁止区域の住宅の解体作業を行っている際、家財道具一式が取り残されているため、その家財道具を質屋に売って500万円稼いだとか・・・
って、言うことは放射能まみれの家電製品や腕時計、装飾品などが、それと知らず世に出回っているってことだ。
う~ん、こりゃ何とも恐ろしい。
やはりそういう人達が流れ着く場所なんだなぁ西成って。
まぁ逆に西成からフクシマに行った人も多そうだけどね。
著者も冒頭で潜入する前の西成の印象を語っているが、昼間から働かず、酒を飲み、公園で日向ぼっこをしながらおしゃべりをするなんて光景だけを見ているとなんとも楽園的な見え方もする。
私も同じような印象で西成を訪れる。
気軽に昼間から酒が飲めるからだ。
で、 釜ヶ崎の三角公園では、珍しい車で見世物をする人もおり、それを珍しがって集まってくるおっちゃんたちとビール片手に談笑する。
なんてのが私の西成の印象なんだけど。
やはりその場でひと時のおしゃべりをしているおっちゃんでも、その素性は凄いものなのかもしれん。
いや~それほどまでにシャブ中が多いとは・・・
いろいろと勉強になった本でした。
ではでは。