さてさて、いよいよお盆休みですね。
お盆のシーズンになると・・・
怪談・心霊。
テレビ番組はお盆休みに何かと心霊系の話題や特集が組まれたりするもんです。
で、誰もが1番好きな怪談話っていうものがあると思うのですが・・・
私の場合はこの、小松左京の「くだんのはは」
くだんとは件と書く。
牛の体に人間の頭を持つ妖怪のこと。
昔はこのような頭が人間で体が牛だったんだが。
第二次世界大戦末期から戦後復興期に頭が牛で体が人間という件(くだん)の目撃の噂が兵庫県兵庫県西宮、芦屋、六甲山で大流行り。
大戦末期の西宮周辺は本土空襲で街が焼け野原の状態。
また西宮、芦屋辺りは大阪で大商売している資産家の邸が沢山ある場所。
家の焼け跡の中で件(くだん)を見た。
という話はなぜ、焼け野原の西宮で流行ったのだろうか?
ちょっと想像してみると、噂の根源はお金持ちへの嫉妬や妬みが生み出した話だろうと想像する人も多いはず。
きっとがめつく代々と儲けた大資産家にバチが当たり、生まれた子供が件(くだん)だったに違いない。
こんな姿の子供を世間にさらすのは家系の恥と思った主は、邸に堅牢な部屋を作り、その部屋に閉じ込めて世間の目に触れさせないように生きてきたのだろう。
しかし、邸が空襲で焼かれ、堅牢な部屋から出れなかった件(くだん)だけが焼け跡に残った。
まぁこのように裕福でなに不自由しない資産家にはこのようなバチがあって欲しいもんだという心理なんだろう。
しかも戦争末期は学徒動員、工場動員。
食べるものも少なく日本国民のほとんどがお国のために疲弊しながら暮らしていた時代である。
涼し気な顔で暮らしている資産家を妬み、恨む感情も膨れ上がっていたのだろう。
そんな西宮界隈の件(くだん)目撃の噂を取材し、自分が中学時代に西宮で体験した戦争の経験を踏まえて執筆されたのがこの「くだんのはは」。
戦争末期の西宮の雰囲気が感じられる名著です。
よければ下記からどうぞ。