神主はつらいよ――とある小さな神社のあまから業務日誌
新井 俊邦 (著)
読了
神主さんの日ごろの日常をのぞき見できるのは非常に面白く、興味深く読ませていただいた。
著者の方は50歳のこれまでシステムエンジニアとしてサラリーマン生活をしていたのだが、宮司である父親の後を継ぎ宮司となった。
この経緯だけでも興味を惹かれる。
本書は神社参拝、運気上昇にも役立つ知識があるのでここで少し紹介したい。
【エピソードその1】
現在は本務社含めて14社もの宮司を務めているが、いろんな神社の宮司を掛け持ちするのが一般的なのだそうだ。
日本全国にある神社は約8万社。
それに対し、宮司の数は約1万人。
宮司は繁忙期が重なるのでお正月など受け持つ神社を回るだけでも体力勝負。
たいていの行事は大安吉日に重なるので代行をお願いせざる負えないこともある。
【エピソードその2】
宮司の年収は一般的に約200万円~300万円ほど。
これでは妻子を養えない。
なのでほとんどの宮司は副業を行う。
公務員や学校の先生などを兼務しながら宮司をしている。
田舎の方では農業をしている半農半神職という言葉もあるらしい。
宮司の収入は地鎮祭、ご祈祷、安全祈願、七五三などの催事報酬。
しかし年々その数は減ってきている。
ましてや神前結婚など皆無である。
【エピソードその3】
宮司の家族が亡くなったら宮司としての仕事ができない。
四十九日の喪に服すため、その間はご祈祷、慶事などは控える風習がある。
これは収入源にも繋がるので喪に服する期間を短くする必殺技がある。
「自祓い」という。
祓いを受けることで喪に服する期間を短くできるのだそうだ。
【エピソードその4】
祝詞はいつも同じ内容ではなく、その都度新たに作成をしている。
祝詞はその時の状況に合わせて変えているそうだ。
なので、突然キャンセルがあった場合はその日のために作成した祝詞が台無しになる。
【エピソードその5】
お札とお守りには有効期限があり、約1年ほど。
お札やお守りは穢れを吸ってくれるもの。
3年、5年とお守りを持っている人は穢れを吸えなくなったお守りを穢れまみれのお守りを持っていると認識を持つべき。
著者は古いお守りを持ち続けている人に対して健康状態なのどの心配をしているのが印象的だった。
私も古いお守りを多数持っているが、急いでお焚き上げしてもらい、新たなお守りを購入しようと思った。
【エピソードその6】
なので、メルカリなどで御朱印やお守りを転売している人がいるが、その御朱印やお守りは他人の穢れを吸い取ったものであるため、購入はしない方がいい。
【エピソードその7】
お賽銭は穢れたお金を神社に納め、財布のお金をきれいにする行為。
金は天下のまわりもという。
お金には様々な穢れがあるのだそうで、それをお賽銭として神様に捧げることで穢れを払い、手持ちのお金がきれいになるそうだ。
なので賽銭泥棒は穢れたお金をいっさいがっさい引き受ける事になる。
【エピソードその8】
古札納め所に藁人形が入れられていることもある。
って現在でも藁人形で呪いをかける人もいるんだな。
【エピソードその9】
ユニクロのヒートテックの白色が重宝したのだが、不人気色ということでユニクロが白色を売らなくなったことが困るらしい。
トップスの白はあるがボトムの白がない!
ヒートテックの白色は宮司の必須アイテムなのだそうだ。
ここで紹介した以外にも宮司ゆえの苦労やら困った参拝者たちの話など、なかなか知りえない事が多く、へぇ~ほぉ~などと思いながら読んだ。
この本を読むと開運間違いなしってことで。
今日はこれまで。
ではでは。