暮らしの顛末(くまくまコアラ)

50代サラリーマン、趣味は1人旅、バイクツーリング、写真撮影、温泉、銭湯巡り。 古い町並みが好きで歴史を感じる関西の各所をブログで紹介しています Canon EOS RとRICOH GR IIIを愛用して観光地巡りやら旅行、アウトドアで風景写真やらを撮っているミニマリストのブログ。 愛車は1号機DAHONのRoute。2号機Kawasaki Versys-X250。3号機TOYOTA のプリウス

吉村昭の名作「高熱隧道」は危機迫る圧倒的な迫力と奥深い人間ドラマで読み応えが半端ないぞ!

いやぁ~さすが吉村昭の名作だ。
危機迫る圧倒的な迫力と奥深い人間ドラマで読み応えが半端ない。

「高熱隧道」は1967年(昭和42年)に「新潮」5月号で発表された長編作品で、黒部川第三発電所建設工事の過酷な現場を描いた記録文学。

事実を忠実に描くため、かなりの時間を使って取材を行い、当時の労働者の内面的心情まで描かれている。

ダイナマイトで発破をかける隧道トンネルの岩盤の表面温度は165度。
火山断層を掘り進める隧道トンネルの先端に行くまでに意識を失いかける人が多く、そもそも作業ができるようなトンネル内部の温度ではない。

また、泡雪崩(ほうなだれ)で頑丈な鉄筋コンクリート5階建ての工事現場の宿舎は1階を残し、2階から5階部分がなんと高さ78mの山を越え、580m先の大岩盤に建物ごと叩きつけられた。
その死者は84名。

泡雪崩(ほうなだれ)は一般的な底雪崩と違い、爆風を伴った雪崩で、その爆風は音速の3倍、秒速1,000m以上。
オーストラリアでは泡雪崩で村1つが宙に舞きあげられたそうだ。

国際的な山岳規模を持つ黒部渓谷である。
超一級規模の泡雪崩が起きても不思議はない。

発破のためにダイナマイトを仕込もうとも、表面温度が165度では自然発火してしまう。
そもそも作業員の頭の位置の温度が60度もある。

黒部渓谷の大自然は、人間ごときが挑むには到底不可能な世界なのか。

地質学者の専門的な調査でも分からなかった想定外の事態に対して、知恵と技術を絞って現場検証と改善策で次々と困難を乗り越えていく。

その度に、開通させることだけが目的と、少しずつ人の心が失われ、生粋のトンネル屋へと変わっていく現場指揮官。

黒部ダム工事の死者は約300人。

大きな事故がある度に工事は中断。
富山県警からはダム工事自体の中止命令を出す。

しかしながら中国との戦争も長引き、ヨーロッパでは世界大戦の兆しもある。
黒部ダム建設は国家事業であり、中央からの意向もある。

宿舎崩壊で大多数の死者を出し、黒部ダムの工事もいよいよ全面中止撤退かと思われた時。

天皇陛下から亡くなった遺族に25円の御下賜(ごかし)が行われた。

このことにより、事態を把握した富山県警は工事の再開を認めた。

通常の工賃の4~5倍の日当を目当てに穴を掘り続ける人夫。
報奨金が出るとなると命の危険をかえりみず、我さきと穴を掘る。

また、命の危険があることを知りながらも人夫に穴を掘らせる現場指揮官達。
過酷な労働環境への不満がいつ自分たちに向けられるのか。

長引くトンネル工事で無口になっていく人夫達。
過酷な労働環境でやせ細り、その白目がギョロっと指揮官達を見る。

指揮官たちはいつ人夫の暴動が起きやしないかと人夫のちょっとした行動を常に深読みし続ける。

そしてトンネルが開通した夜、指揮官たちは誰にも知られないよう、そっと暗闇に隠れながらひっそりと現場の山を下りた。

数日前、ダイナマイトを保管してある倉庫のカギが壊され、ダイナマイトが数本なくなっていた。

いやいやこれはおすすめの本ですよ!
ってことで今日はこれまで。
ではでは。