万葉の歌にもよく歌われた奈良県葛城市に大阪府南河内郡太子町にまたがる二上山。
古の飛鳥人は夕日が沈む二上山を特別なものとしてとらえていた。
雄岳、雌岳がつながる美しい稜線は馬の背と呼ばれ、夕日を背負ったその稜線のシルエットは今も昔も人々を感傷的にさせる。
その二上山の山頂に歴史のスーパーヒーローが眠る墓地がある。
大津の皇子である。
武道にすぐれ、人望も熱く、人気者であった大津の皇子だが、草壁の王子と皇位継承争いが起き、草壁の王子に葬られてしまった。
24歳であったそうだ。
大津の皇子の姉である大伯皇女(おおくのひめみこ)は二上山を眺めながら歌う。
うつそみの
人にあるわれや
明日よりは
二上山(ふたがみやま)を
弟世(いろせ)とわが見む
「現世の人である私は、明日から二上山をわが弟の君であると見て偲ぶだろう」
そんな歴史ロマン感じる二上山の麓にひっそりと佇むお寺がある。
石光寺(せっこうじ)である。
牡丹の花が満開を迎えたということでやってきた。
のどかな里山の風景の中、ひらけた場所に立派な石垣。
この寺の草創は約1300年前、天智天皇(668~671在位)の勅願で建てられ、 役小角(えんのおづぬ)の開山と伝えられる。
5月14日までは石光寺に祀られている弥勒如来石仏が御開帳されている。
この弥勒如来石仏は平成3年に発掘された日本最古の石仏(7世紀~8世紀)だとか。
境内には3000株以上の牡丹が植えられているが、いやはや牡丹の花の撮影をどのような構図で撮ればいいのやら。
なかなか正解が見えないのである。
境内は小さくもないが広くもない。
せせこましい牡丹回廊をゆっくりと歩くと心が和む。
鳥の鳴く声、ぼちぼちと水を張った周辺の田んぼからはカエルの鳴く声がする。
ひっそりと静かなお寺に絢爛豪華さはないものの。
歴史の重み、古刹ならではの趣がある。
いつまでもこの牡丹回廊を彷徨っていたいと思う静かなお寺であった。
そして石光寺は中将姫伝説のゆかりの地でもある。
中将姫は5歳で母親を亡くし、継母に育てられるも、度重なるいじめに世をはかなんで17歳で出家。
當麻寺にて仏道に励んでいるうちに霊感を得る。
蓮の茎から糸を紡ぎだし、石光寺の井戸水で洗い清め、傍らの桜の木に掛けて糸を干していると、乾くごとに糸が5色に染まったそう。
その糸を使って一夜にして阿弥陀浄土図を織り上げた。
これが當麻曼荼羅として、近くの當麻寺のご本尊として祀られている。
さて、石光寺から車で移動すること約10分。
道の駅「葛城」の近くにあるしあわせの森へ。
ここは今まさに芝桜が満開の絶景スポットである。
ワンちゃんを連れての観光客が多く、愛犬と芝桜の映え写真が撮れるのだろう。
訪れたは日はあえなく曇天の空だが、晴天の日は青い空にピンクの芝桜のコントラストが見事な絶景スポットである。
昼食は道の駅で売っていた竹の子ごはんをいただく。
道の駅「ふたかみパーク當麻」の炊き込みご飯は私のお気に入り。
安くて素朴な味付けが里山の景色によく合う。
身近な古刹をゆっくりと時間をかけて鑑賞する。
それもまた旅なのだと私は思う。
いや~ちょっと自分に酔ったような文章にチェレンジしてみたわ~。
ってことで今日はこれまで。
ではでは。