時代劇をよりリアルに演出するために欠かせない時代考証。
時代小説や時代劇を読んだり観たりする上で著者や演出家がどこまでリアリティに拘ったのか、特に専門知識を持たない一般的な読者や視聴者なら解説なしでは分からない事がほとんどだと思う。
そんなほとんどの人が気にならないことを気にするのも時代考証でもある。
ちょっと雑学として面白そうなので、その時代にその言葉はなかったというものをまとめてみました。
江戸時代にはインフルエンザという言葉がすでにあった。
これが最も意外だった。
江戸時代にすでにインフルエンザという言葉が普通に使われていたなんて!
漢字で書くと「印弗魯英撤」と書いたらしい。
現在の日本語だと「流行性感冒」。
略して「流感」と言われているのだとか。
江戸時代当時は「流行性感冒」とは言われず、そのまま「印弗魯英撤」と言われたらしい。
テレビの時代劇のセリフで「インフルエンザ」という言葉が発せられても時代考証的には正解なのである。
正解なのだろうけど、違和感この上ない。
さぼるはググると同じのである。
Googleで検索することを略して「ググる」と言いますが、「さぼる」も略語なのだとか。
その語源は意外にもフランス語の「サボタージュ」なのだとか。
サボタージュするという言葉が略して「さぼる」となったのだとか。
当然江戸時代にはない言葉であり、戦後に普及した言葉。
とはいえ時代劇でよく使用されるケースが多い。
情報という言葉の生みの親は森鴎外だった。
情報という言葉も時代劇にはふさわしくないらしい。
そもそもは「情況」と「報告」の二つの言葉がくっ付いたもの。
この「情報」という言葉を使ったのはなんとあの森鴎外なのだとか。
森鴎外は明治・大正の小説家なので、戦国時代ものや忍者ものの時代劇で「情報」という言葉を使うのは時代考証的におかしいのだとか。
まぁ素人の私としてはこの言葉が使われていても全然違和感を感じないけどね。
台風のことを昔は「野分」と呼んでいた。
時代劇で台風が出てくることはそうそう多くないと思いますが、時代考証に従うと「野分」というのが良いらしい。
実は「台風」という漢字表記が定着したのは昭和30年以降と割と近年のことなのだとか。
それまでは緒方洪庵の適塾で塾頭であった伊藤慎蔵がオランダ語を訳する際に「颱風」と記し、それが使われていたそうな。
でも、時代劇を楽しむのに「野分」と言われてどれだけの人が台風と認識するのだろうか。
まぁなんとなく、それっぽいものが想像出来る人は相当時代劇を読んでいる人なのではないだろうか。
まとめ
時代劇作家の間でも時代考証のとらえ方に温度差がかなりあるのだそうだ。
歴史ファンにとってはよりリアルにという要望もあろうが、現代語にしないと難解な読み物として敷居が高くなる。
要するに知ったうえであえて現代語を使用するのか、無知なゆえのミスなのか。
そのあたりで言葉使いへの配慮が伺えるかどうかなのだろうけど。
時代劇作家も大変なものだなと思う今日この頃。
ではでは。