朝霧が立ちこむ冬の吉野の山々を見たくて大阪の自宅を出発したのが、朝の8時30分。
(この時点でちょっと遅いのだが・・・)
休日の朝は下道もガラガラ。
そして朝10時。吉野下千本の無料観光駐車場に到着。
桜のシーズンにはこの広い駐車場でも満車の状態になるほどの賑わいなのだが、あまりに車が停まっていなくて逆にどこに停めようか思うほど。
やはり真冬に吉野山を訪れるのはよほどの変わり者という事かな。
昨年4月から吉野大峯ケーブルが車両故障のため運休となってたり、12月下旬から3月の間は積雪、道路の凍結のためローカルバスも運休。
なのでここを訪れ人もかなり少なくなる。
真冬の吉野山こそ吉野らしいひっそりとした趣が感じられるのだ。
- 凛とした吉野の山々
- 吉野山をぶらぶらとハイキング
- 世界遺産 金峯山寺を訪ねる
- 歴史好きにはたまらない穴場スポット、ユネスコ世界遺産「吉水神社」
- 再び吉野山をハイキング
- 竹林院にて庭園を眺める
- 桜本坊は桜のシーズンにこそ行ってみたい場所
- 上千本の町並みを散策
- お昼ご飯は豆富茶屋で湯豆腐善
凛とした吉野の山々
朝霧を見るにはかなり遅い時間帯なのだが、それでもいい感じで霞がかかっている山々。
あちらこちらで焚火の煙が立ち上るのも冬山らしい情景。
これぞ修験道である吉野本来の姿かな。
なんて思いにふけったりする。
吉野山をぶらぶらとハイキング
下千本の駐車場から歩いて5分程度で見えてくるのは黒門。
金峯山寺の総門であり、昔は公家や大名もこの門からは馬や駕篭から降りて、武器を伏せて歩いて参拝したのだという。
黒門を抜けると、所狭しと軒先に焼き物を並べた陶器屋が数件並ぶ。
なぜこの一角だけ陶器屋が軒を連ねているのかは分からない。
陶器屋にばかり目が行くのだが、振り返って反対側には名勝吉野山の碑が立っている。
この碑は結構見落としがち。
宿屋やお土産物屋、食事処が並ぶ参拝道を歩いて金峯山寺に向かう。
冬場のオフシーズンという事もあり、店を閉めているお店もちらほら。
車なんとかすれ違う事が出来るほどの細い道。
街並みを楽しんでいるとすぐに見えてくる大きな屋根が金峯山寺。
金峯山寺の仁王門から参拝道を眺める。
手前にあるお店は天皇家に献上したという吉野葛を販売しているお店。
世界遺産 金峯山寺を訪ねる
役行者が創設したと言われている金峯山寺。
蔵王堂と仁王門はユネスコ世界文化遺産に登録されている。
残念ながら仁王門は改修工事中だったため写真を撮っていない。
柱に使われている木の質感が長い歴史を感じさせる。
歴史好きにはたまらない穴場スポット、ユネスコ世界遺産「吉水神社」
金峯山寺を参拝し、宿場町方面へと足を向ける。
参拝道から少し道を外れる。
すると見えてくるのがユネスコ世界遺産、吉水神社。
ここはあまり知られていない穴場スポット。
この神社の境内からは一目千本という桜を眺めるスポットなのですが、今はご覧の通り葉のない桜の木が並ぶ状態。
この神社の何がオススメなのかというと書院の中とその展示物。
拝観料400円で書院の拝観が可能。
駄目もとでカメラ撮影は可能なのか尋ねてみると・・・
なんとOKだとの事。
カメラ撮影が可能とは、こりゃ珍しい。
源義経が追われて身を隠したという部屋。
室町初期に改築された床棚書院という様式だとの事。
義経もこの部屋からの吉野の眺めを見ていたのだろう。
そう考えるとロマンを感じる。
こちらは義経と共に身を潜め再起を計る弁慶が思案をしていた「弁慶思案の間」
こちらは後醍醐天皇の玉座。
桃山時代の典型的な書院づくりなのだとか。
さて続いては展示物です。
源義経の鎧。
もちろん重要文化財です。
こんな貴重なもの本当に写真を撮影していいのだろうかと思うほど・・・
でもまだまだこれだけではございません。
こちらは弁慶の七つ道具「武装槍」。
そして百人一首に登場する蝉丸の琵琶。
他にも楠木正成所有の物や、弘法大師ゆかりの品などが展示されています。
そして書院からの眺め。
金峯山寺が見えるいい眺めだこと。
こちらは豊臣秀吉が花見の際に愛用したという金屏風。
吉水神社の書院、義経と弁慶が身を隠した場所であり、その400年後には豊臣秀吉が花見の本陣として盛大な宴をしたという。
義経や秀吉も眺めたであろう吉水神社の書院からの眺め。
義経の時代、秀吉の時代とそう変わらないであろうこの眺めを今、私も眺めている。
そう考えるとロマンチックな気持ちになり、歌でも一句歌いたい気持ちになるのだが、そんなセンスはもうとうないのだ。
ただしんみりと想いにふけるのみ。
再び吉野山をハイキング
午後からはほどほどに観光客も行きかっていたのだが、午前中は全然人がいない。
三連休なのに。
なんだかこういう軒と軒の間に変な魅力を感じたりする。
軒の間や狭い路地を気にしながら歩いていると大日寺という看板が・・・
立ち寄ってみるとお寺の周辺がかなり荒廃した感じだったのでそそくさと来た道を戻る。
さて、気を取り戻して宿場町を散策。
奥に写っているのは桜花壇という文芸の宿。
こちらが桜花壇。
大正12年創業の宿。
ところで文芸の宿って何?ってなるのですが。
谷崎潤一郎「吉野葛」
吉川英治「新平家物語」
山本健吉「旅のこころ」
内藤康夫「天河伝説殺人事件」執筆の宿とのこと。
残念ながら今を休業中なのだとか。
下千本から中千本へと向かう道にて。
だいぶと陽が強くなり、12月下旬の山なのに気温が14℃。
ダウンを着ていると汗が出るほど温かい。
中千本の駐車場を過ぎると、「左 五郎平茶屋」という標識を発見。
興味本位で向かってみる。
この階段を上るらしい。
どうやら見晴らしの良さそうな場所に出れそう。
足元には鹿と思われる糞があちらこちらに転がっている。
見晴らしの良い場所から眺める吉野の宿場町も情緒的でいい感じ。
そして高台から見下ろすあの小屋が五郎平茶屋なのだろう。
竹林院にて庭園を眺める
大和三庭園の一つ竹林院群芳園。
旅館が併設された寺院。
それにしても大和三庭園なんて言葉を初めて知った。
調べてみると當麻寺中之坊の「香藕園(こうぐうえん)」を大和郡山の「慈光院」、そしてここ吉野山の「竹林院群芳園」なのだとか。
なんだか、わび・さびを感じる雰囲気にカメラを向けてみる。
庭園への観覧料は400円。
シーズンオスだからか受付は無人で料金箱に観覧料を入れる。
雪でも積もっていればさぞかし庭園も魅力的なのだが、雪のない冬の庭園って何をどう楽しめばいいのだろう。
そんな思いであったのだが、とりあえず見てみることに。
千利休が作庭したという庭園ではあるのだが、さすがに真冬という事もあり心ときめく光景ではなかったのだが、庭園内に建てられている建物が魅力的だった。
400円は決して無駄ではなかったのかも。
桜本坊は桜のシーズンにこそ行ってみたい場所
さて、続いて訪れたのは天武天皇が建立した修行道場「桜本坊」。
境内の真ん中の塔のようなものに顔らしきものが埋め込まれているのだが、こりゃ一体どのような意味があるものなのだろうか。
こちらのお堂も拝観料400円で観覧が可能。
ちなみにカメラ撮影はダメ。
初めて中を見てみたのだが、大講堂からの眺めは圧巻。
100畳以上はあるのかな。
大きな講堂の東側一面の窓。
その大パノラマの向こうには上千本の桜の木が。
ここは桜のシーズンにぜひ訪れたい場所なのである。
いやいやいい場所みっけた。
上千本の町並みを散策
上千本辺りをぶらぶらと散策していると軒先になにやら面白そうなものが。
近づいて見てみると天然のタカハヤやカワムツ、メダカ、サワガニなどが売られている。なんも里山らしくてのどかな光景。
ゴムボールなども売られていたので山の中の駄菓子屋さんのような存在なのかもしれない。
また違うお店では梅干しやら山わさびの苗やらが売られていた。
お昼ご飯は豆富茶屋で湯豆腐善
さて、そろそろ腹が空いてきた。
ローソンにてからあげくんを購入してきたのだが、やはり現地の味を楽しみたい。
いい感じのお店が沢山あり、どこで食事をしようか悩む。
結局決めたのは吉野とうふが食べたいという事で、ここ豆富茶屋というお店。
オシャレで綺麗な店内。
注文したのは湯豆腐善、1000円。
湯豆腐といなりのセットです。
吉野とうふの湯豆腐が頂けるとはありがたい。
食べなくても美味いに決まっているやつですよ。
当然美味しいし、飽きずにいくらでも食べれる。
オフシーズンなので店内には人が少ないが、たぶん吉野山の人気店なのだろう。
調べてみたらGoogleの口コミ評価がめちゃめちゃ高かった。
さて、お腹も満たされたことだし、ぼちぼち帰りましょうかね。
ちなみにこちらの八十吉も名店。
吉野天人という葛きりが有名で、食べたかったのだが次回、また吉野を訪れる理由としてまた今度の楽しみに残しておく。
ではでは。
CANON EOS 7D Mark II
F24-70mm F4L IS USM