奈良県橿原市今井町にある今西住宅。
この住宅が日本全国の中でもなかなか見れない珍しい住宅とのこと。
実は裁判所だった
今西住宅はいつでも見学が出来るという家ではない。
約一か月ほど前に奈良県今井町を訪れた際にはこの今西住宅は見学不可であった。
この日は今井町のイベントという事もあり、一般に有料開放をされていた。
今西住宅は今井町の中でも最も古く、
今から350年前に建てられたものであるとの事。
この今西住宅は何をしていたのかというと、
裁判所の役割を担っていたのだとか・・・
江戸時代、今井町でのもめごとや事件など、
特別自治区としてこの今西家で罪人の処罰をしていたとの事。
江戸時代の裁判所というと、遠山の金さん。
テレビで見たお奉行所のイメージと同じく、
地面に対して座敷を高く作ってある。
ここは建物内ではあるが、誰もが立ち入れる場として想定されており、
座敷のプライベート空間との境界をはっきりさせるため、高く作っているのだとか。
また、建物内ではあるものの、天戸のような板づくりの戸があるのも
座敷との区別を明確にしているのだとか。
罪人を裁くために住宅って日本全国でも珍しい。
こちらは広間から2階を撮影したもの。
左右に扉のようなものがあるが・・・
これは罪人の罪を白状させるための拷問を行う部屋なのだとか。
左が男性部屋、右が女性部屋。
部屋の下で火を焚いて、煙で炙ることで自白を促すとの事。
建物の構造が現代技術をもってしても再現できない
吹き抜けの天井。
大きな梁が3本あるが、手前の1本は昭和時代のもの。
奥の2本は建築当時の梁。
手前の1本は重要文化財の認定にあたり、耐久性の基準を満たない梁を新たなものに変えたそうな。
阪神淡路大震災の時、この住宅も大いに揺れたが、建築当時の梁はひびもなく、震災に耐えたが、新たな梁は写真の通り、大きなひびが入ったとの事。
木の乾燥が足らなかったのか、昔の時代は木の選定や加工に対してのかなりの耐久基準を考慮されていたのだろう。
長年煙にいぶされる事も考慮されていたのか、昔の梁は阪神大震災の揺れにも耐えたそうだ。
この家の耐震性能は住宅専門家も一目置いているようで、
よく見学にこられるそう。
三本の大きな梁を複雑な構造で支えている。
地震が来ると真っ先に瓦を落として建物を守るという構造。
説明によるとこの住宅、
地震が来ると真っ先に重たい瓦がガラガラと下に落ちるような設計になっているのだとか・・・
重たい瓦を落とすことで建物の崩壊を防ぐ。
なんともそこまで考え抜かれた家なのか・・・
長い時間で培われた自然の摂理や原理を活かした、昔の人の知恵と知識って凄いものだ。
この家を訪れてみて改めてそう思った。