さて、今日は大阪天王寺の慶沢園へ。
あべのハルカスやキューズモールなどショッピングを楽しむ人が多い大都会。
また四天王寺や一心寺などお参り客も多く、近くには通天閣の新世界もある。
そんなランドマークが密集するエリアの中心にあるのが天王寺公園。
芝生の広場「てんしば」や天王寺動物園、美術館などがあり都心のオアシスとして大阪の人に親しまれている場所。
その天王寺公園の一角にさらに静けさと清涼を感じるスポットがあるんだな。
それが大阪市立美術館の裏にある慶沢園。
これが結構歴史のある庭園なんですよ。
慶沢園への入園料は大人150円。
安い!
有料だからか地元大阪の人でも行ったことがある人は少ない印象。
そもそも慶沢園の存在そのものすらあまり知られてなかったりする。
(あくまで私の印象では・・・)
慶沢園ってなんじゃらほい。
ここ、実は財閥である住友家がそもそも持っていた土地なんです。
その住友家が大正時代に本家を新築した際に作った庭園が慶沢園。
それが今は大阪市の持ち物になっちゃった。
なぜか?
いや~昔の人は太っ腹だわ。
住友家が茶臼山から転宅する際、第15代当主である吉左衛門が茶臼山いったいの所有地敷地を大阪市に寄贈したのですよ。
それが昭和元年の話。
寄贈する際、住友家は寄贈後は大阪市の公園として使うこと、そして公園の一部に美術館を建設することを条件にしたわけですな。
なので一時、大阪市立美術館廃止検討などといわれたんだけど、美術館をなくすと住友家が文化貢献のために寄贈した土地の条件違反となるわけですな。
って大阪市には当時の住友家との寄贈条件契約書みたいなものが残っているのだろうか。
そして昭和元年に寄贈され、やは1世紀。
法律上、時効というケースもあるのだろうか。
とはいえ偉大なる先人が大阪文化のためにと莫大な資産を寄贈したという事実も驚くわけだけど。
って前置きが長くなっちゃったわ。
慶沢園は前景の州浜から池の真ん中に浮かぶ中島、背後には池を掘った際に出た土をもった高木群という景色。
約200種類の木々が植えられ、中島に植栽されたクロマツが池の水面に写る光景が何とも静寂の世界に浸らせてくれる。
これから紅葉で色づくとさらに趣のある情景になるのだろう。
こちらは庭園内にあるあずまやで撮影。
あべのハルカスを借景に撮影。
これって借景といえるのだろうか?
都会のど真ん中感が分かるように撮影したのだが・・・
緑と水と石の情景が美しい慶沢園。
この庭を作庭したのは「水と石の意匠」の名人といわれた庭師。
「植治」こと7代目小川治兵衛。
植治ってなんじゃらほい。
植治とは約250年前、1751年創業の造園家業。
初代、小川治兵衛から代々その名を襲名し、今は11代目当主となる京都の造園家。
この慶沢園を作庭した七代小川 治兵衛は近代日本庭園の先駆者といわれ、数々の庭園を世に残している凄い人なんだな。
七代小川 治兵衛はこの慶沢園を作庭する前に「関西随一で岡山後楽園などとても及びますまい」とその意気込みを語ったとか・・・
どうやら七代小川 治兵衛はこの庭園には「龍が棲む」という仕掛けが工夫されているようなのだが、私にはさっぱり分からんのだ。
どれが龍なのだろう。
そんな名庭なのにこういうのが非常に残念。
中島に剪定作業に使うはしごがそのまま残されている。
ちょっとぉ~景観美の邪魔になるだろうに。
安いとはいえいちおう入場料を支払っているのに。
クロマツの剪定には「葉を残す美しさにこだわって剪定してきた」のでしょ。
だったら、その美しさを邪魔するはしごはちゃんと片付けとこ。
これじゃ七代小川 治兵衛が泣いちゃうよ。
ちなみにこの慶沢園はけっこう蚊が多いんだよね。
以前に真夏に来た時に蚊に随分と悩まされたわ。
さすがにこの時期は大丈夫だろうと思っていたのだが・・・
なんと小指の付け根を蚊に食われた。
とほほ・・・
ということで大阪天王寺公園の慶沢園を楽しんできましたとさ。
ではでは。
開園:9:30分~16:30分/月曜休(祝日の場合は翌日休)12月29日~1月1日休
JR線、Osaka Metro天王寺駅から徒歩5分
Osaka Metro動物園前駅、恵美須町駅から徒歩15分
近鉄大阪阿部野橋駅から徒歩10分
駐車場なし