さてさて、今日は奈良県の十津川村まで。
国道168号線で大阪から約3時間。
十津川と上湯川が合流する場所。
普段なら綺麗なエメラルドグリーンの川なのだが、昨日の雨のせいか乳白色で濁っていた。
国道168号線と国道425号線が合流するあたり。
この赤い鉄橋を越えてすぐ、右へと曲がる山道があり、その山道を進むと十津川村の最果ての集落、果無(はてなし)集落がある。
山道といえども、道路はわりと走りやすく、落石なども少ない。
ただ、ガードレールがない場所が多く、慎重になるハンドル操作。
何処まで行っても山・山・山。
まさに果て無く続く山の光景の中に果無(はてなし)集落がある。
さて、ココが果無(はてなし)集落の観光駐車場。
停めれる車の数は4台ほど。
とはいえ、この付近の道路沿いに駐車しても邪魔にならない場所などもあり、まぁ駐車場に困ることはなさそう。
奈良県の十津川村とは
駐車場から果無(はてなし)集落までは約200m。
果無(はてなし)集落は世界遺産である熊野参詣道小辺路沿いにある集落。
で、果無(はてなし)集落へと行く前に奈良県十津川村のことをおさらいしておこう。
奈良県の十津川村は奈良県の南に位置し、吉野、熊野といった紀伊山脈の山奥にある村。
実はその広さ日本一の村であり、いまでもなお町村合併をせずに村を呼称している。
無数の山や谷だらけで急斜面の土地に集落が点在しており、その山、山を平坦地の面積に換算すると東京23区以上となる。
あまりに山深いため十津川村ははるか昔、天武天皇の時代(686年)から御赦免所として年貢を納めなくてもよい土地であった。
大和十津川御赦免所(ごしゃめんどころ)
年貢要らずの作り取り
という里の唱があるが、年貢がいらないから米を取り放題。
なんてことはなく、あまりにも大山塊の土地であるからして、年貢を納めるほどの米が作れないのだ。
要するに免租せざるをえない土地であり、あまりにも山奥過ぎて中央集権の力が及ばない政治的空白地でもあった。
だが、大阪や京で合戦がある度に、十津川郷の者が兵として出陣し、その兵力を頼りにされたらしい。
特に狩りを生業として暮らしていたということもあり、その弓の技術はかなりのものだったのだとか。
十津川郷の兵は大阪冬の陣でも出兵をしている。
中央集権の力が及ばぬ十津川郷という僻地は兵力の貯蔵庫という役割でもあったそうな。
今でこそ、十津川村の最果てまで大阪から車で3時間で行けるようになったが、車道が十津川村の果てまで通ったのは昭和34年頃である。
十津川村の人達は村と下界を行き来するため、自らの山の土地を無償で差しだし、道路建設にかかる費用の一部を木材を売って負担をした。
十津川村で有名な観光スポットである、日本一長い吊り橋の「谷瀬の吊り橋」も村民がお金を出し合って作ったものであって、公共事業として税金で作られたものではない。
十津川村の人達は昔からそのような気質なのだろう。
時に兵を出し、時に資金を出し、自らの財を村のために提供をしている。
このような僻地でありながら、時代の流れにうまくのることを心得ているのだろうか。
明治維新の時代にも十津川郷の人は維新派の獅子として活躍をしている。
かの坂本龍馬も十津川郷の者をかわいがった。
坂本龍馬が亡くなる近江屋事件。
坂本龍馬は風をこじらせて醤油商である近江屋新助の屋敷の二階にいた。
龍馬が中岡慎太郎と話こんでいた午後8時頃。
土間に立つ人影あり。
誰が訪ねて来たのであろうか。
と下僕の藤吉が階下に降りてみると・・・
「私は十津川郷の者だが。」
といって藤吉に名刺を渡し、
「坂本先生はご在宅か?」
と尋ねた。
十津川郷の者と知って味方だと思った藤吉は、龍馬を呼びに行こうとした際に襲撃された。
その後、坂本龍馬は十津川郷の者と嘘を名乗った京都見廻組の襲撃に逢い殺さるのである。
奈良の大山塊の僻地、十津川村が歴史上で何度も登場しているのが興味深い。
和風のマチュピチュ感がある十津川村の果無集落へ
さて、駐車場から歩くこと200m。
熊野参詣道小辺路へ到着。
どうやらバスが通っているみたい。
バス停の名前は「世界遺産石碑前」。
バス停の時刻表を見てみると・・・
何と月曜日のみの運行。
週に2便しかバスが来ないという。
まさに僻地だな。
こちらが世界遺産の石碑。
石碑の横を通る小さな小道が熊野参詣道小辺路。
この道を進むと果無(はてなし)集落。
人1人が通れるほどの小さな小道。
遠くに家があるのが見える。
十津川村の観光案内にも紹介されている果無(はてなし)集落ですが、基本的には集落に暮らす人達の土地のため、熊野参詣道小辺路以外には立ち入らないようにしましょう。
いい感じの縁側があるお家。
この家はかつて、熊野詣の坊だったのでしょうかね。
こんな山奥に石畳の小道ってなんとも不思議な光景。
こりゃ和風マチュピチュって感じだわ。
この田んぼを見ていると十津川村が昔から御赦免所っていうのも納得。
めちゃ水が綺麗でめちゃデカいコイがいるんだけどPLフィルターを持って来てないのでその姿が撮れないのが残念。
いやいやこの集落のひらけ方って日本国内の中でもかなり珍しいと思う。
まさに果ての無い山々を眺めながら暮らす村だわ。
果無(はてなし)集落の絶景スポット「めん滝」へ。
さてさて、先ほどの果無(はてなし)集落から少し山を下った場所にある絶景スポット「めん滝」へ。
昨日の長雨のせいでしょうか。
かなりの水量で迫力満点。
この位置でも水しぶきがカメラにあたるほどの大迫力。
で、帰りは道の駅「十津川郷」でいつもの串くんにゃくと。
道の駅「かつらぎ」でけつねうどんをば。
まぁそんな一日だったとさ。
ではでは。