さて、今日は独りぼっちで奈良県の西吉野までプチツーリング。
先日、GoogleMapで見つけたなんともおどろおどろしく、人けのない旧トンネルを見るためにやってきた。
かなりのおどろおどろしさなのだが、これが意外に吉野の山奥ではなく、西吉野の大塔町にあるんだな。
まずは国道168号線の道の駅、「大塔コスミックパーク星のくに」へ。
ここは吉野ツーリングの玄関口。
普段ならここから十津川、熊野へと進んでいくわけだが、今日はこの辺りが目的地。
かなり物足らないが、目的地なので仕方がない。
道の駅「大塔コスミックパーク星のくに」から国道168号線を五條方面に500mほど戻る。
「大塔コスミックパーク星のくに」の手前には「新天辻トンネル」があるのだが、その「新天辻トンネル」の真上の峠を越えるルートが「天辻隧道」。
「天辻隧道」の道の状態はかなり苔むしており、車通りの少なさがうかがえる。
実際、この日は偶然にも1台の軽トラとすれ違ったが、そうそう車と行き違えることはなさそうな道。
で、天辻隧道に入って1㎞ほど走ると見えてきたのが今回の目的地。
旧天辻トンネル。
どうよ。
このおどろおどろしい感じ。
トンネルの中が真っ暗だわ。
でもおどろおどろしさはトンネルを抜けた反対側のほうがもっとおどろおどろしいんだけどね。
トンネルの外観からかなり荒れたトンネルかと思いきや。
トンネル内部は綺麗に舗装されている。
が、当然、山の中のトンネルなので照明などなく、真っ暗闇。
こちらが「旧天辻トンネル」を抜けた、反対側のトンネルの入り口。
これはかなりのおどろおどろしさだわ。
自分がたてる音以外、何も聞こえない。
しかも自分がたてる音が、1秒遅れでトンネルから響いてくるという不気味さ。
リアケースを閉じる「ボン!」
1秒遅れで、トンネル内部から「ボン!」とこだまする。
こだまだとはわかっているのだが、誰かが自分の真似をして音を発しているみたいで気持ちが悪い。
しかもトンネルを抜けると未舗装道路だった。
なんだか異世界へと繋がるトンネルのよう。
まるで千と千尋の神隠しみたいで、このトンネルを越えると神隠しに逢いそうな。
もしくは何かよからぬものでも持って帰りそうな・・・
そんなことを思ってしまうほどの静寂と空気感。
この旧天辻トンネルが開通したのが1922年(大正11年)。
構造材料としてコンクリートが使われるようになったのは大正末期。
このトンネルは国内で2番目に古いコンクリートのトンネルとして、全国的にも貴重な近代遺産なのである。
そしてここ天辻峠は明治維新の魁と言われる「天誅組」の本陣があった場所。
「天誅組」とは尊王攘夷派の志士たちの集団。
幕府を倒して、天皇中心の政治を行うため討幕へと活動した「天誅組」
ここ天辻峠は十津川郷のような急峻な地形で天然の要塞ともなり、それでいて十津川郷ほど遠くなく、また十津川郷への物資運搬の中継地点として物資の往来もあったため、本陣を構えるのにうってつけの場所であったそうな。
いやいや吉野は何かと歴史舞台が多い場所だなぁと。
「吉野葛」で有名な文豪家「谷崎潤一郎」は吉野を題材に物語を書こうとして吉野を訪れたのだが、あまりにも歴史舞台が大き過ぎて何も書けなかった。
それが「吉野葛」なのである。
いやいやおどろおどろしいトンネル一つでここまで歴史が語れるとは・・・
奈良の歴史はほんと奥が深いなぁと。
で、天辻隧道の「旧天辻トンネル」に向かうはずだったのが、道を間違えていった先での土砂崩れ。
まぁ吉野、熊野脇道ではこんな光景は日常茶飯事だったりするわけですが。
で、こちらは帰りの道で見つけたルリセンチコガネ。
奈良の山ではよく出会う。
こいつを見るとそろそろ夏かぁ。
なんて思うんだよね。
ってことで今日はこれまで。
ではでは。