さてさて、今日やってきたのは奈良県の二上山の麓にある當麻寺。
関西花の寺二十五霊場の一つで、4月~5月にかけて約5000株のぼたんで鮮やかに彩られる。
今回のお目当ては冬の風物詩であるこの冬ぼたん。
電灯にも冬ぼたんのイラストが描かれている。
雪をさけるために「わらぼっち」と呼ばれるわら囲いがされている。
これがなんとも冬の風物詩として、いい雰囲気なんだよな。
で、こちらは浄土庭園という名の庭園。
當麻寺奥之院は浄土宗でこの庭は万葉の霊山、二上山を背景に極楽浄土を表している。
その昔、飛鳥、奈良時代、大和の人々は二上山の向こう側、大阪河内を浄土の世界として見ていた。
奈良盆地から眺めると日が落ちる山が二上山にあたる。
大和人にとって二上山の向こう側は死者の国として二上山はその死の世界との大和を分ける結界のような存在であった。
二上山の向こう側を浄土、奈良側を現世とし、亡くなったものは二上山の向こう側である河内の墳墓群に埋葬されていった。
そう語るのは五木寛之著の百時巡礼である。
そのような思想があったからなのか、ここ二上山の麓、當麻の地に極楽浄土を模した庭園が造られたのでだろう。
関西花の寺二十五霊場らしく、ダリアの花で彩られた花手水。
奈良県の當麻寺は日本の中でも非常に珍しいものをご本尊としてお祀りしてある。
おおむね日本のどこのお寺でも仏像がご本尊になっているお寺が多い中、日本中でただ一つ、この當麻寺だけが、ご本尊が曼荼羅だったりする。
このご本尊は縦横4mの大曼荼羅、當麻曼荼羅と呼ばれる。
この曼荼羅にまつわる伝説がある。
あの大化の改新の立役者である藤原 鎌足(中臣 鎌足)の曾孫、中将姫は16歳にして、この當麻寺に入り尼となった。
その中将姫の願いにより、観世音菩薩様の加護を得て、蓮糸で一夜して織り上げたのがこのご本尊である4m四方の大曼荼羅である。
現在、宝物館にて同じ製法で作成された當麻曼荼羅が見れるが一夜どころか1年かけてもで織れるものではないほどの大曼荼羅である。
中将姫の伝説は様々な物語となり、能や浄瑠璃、歌舞伎で広く世間に広まった。
毎年、4月14日の中将姫の命日には1000年以上続く、當麻寺最大の伝統行事、練供養会式が行われ、25の面を被った菩薩様が中将姫を極楽浄土へと導く行事が行われている。
全国的に知れ渡る奈良県の観光地ではない寺なのだが、五木寛之の百時巡礼にも登場する日本人のこころにふれる場所としてなんとも味わい深い寺院なんだなぁ。
ってことで今日はこれまで。
ではでは。