さてさて、今日はとある旅館に泊まる事が目的の旅。
しかも大阪在住の私にとって奈良県はお隣の県。
奈良県観光は日帰り圏内なのですが、今日は宿で一泊することが目的。
しかも駅近の旅館なので、電車で向かう。
やって来たのはJRと近鉄が乗り入れる奈良県の桜井駅。
奈良県の桜井市は「ヤマト王権発祥の地」として邪馬台国畿内説を裏付ける「纒向(まきむく)遺跡」や、卑弥呼の墓といわれている「箸墓(はしはか)古墳」などがある場所。
三輪そうめんでも有名。
そんな桜井駅の駅前に明治時代に建てられた旅情あふれる和風旅館が今でも当時の姿を残しつつ営業をしている。
駅前のロータリーからも見える旅館の案内看板。
旅館の名は皆花楼(かいかろう)
犬養毅元首相も宿泊して書を残した老舗旅館だ。
あったあった。
趣のある土壁の塀に囲まれた旅館 皆花楼(かいかろう)
桜井駅から歩いて30秒でこの佇まいの旅館があるとは。
ちなみに桜井駅前にはホテルルートイン(総部屋数175室)などもある。
決して宿泊者が珍しい駅前ではない。
いやいや駅前とは思えないほど別世界の空間。
実は桜井駅前の道は古くは伊勢街道として栄えていた。
玄関を入ると、昔のままの下駄箱がある。
昔ながらの佇まいを残す現役旅館。
もちろん清潔感もあり、歴史、旅館好きにはうってつけのお宿である。
また旅館の方が親しみやすいように配慮されているのが伝わるのもいい。
さて、案内してもらった今日のお部屋がこちら。
非常に日当たりが良く、明るいお部屋。
窓のすりガラスが趣ある。
部屋には大きな日本画が飾られてあった。
お部屋の柱にも何やら歴史を感じる木工装飾が飾られてある。
何かの葉っぱにカタツムリが乗っかっている木工装飾。
おばあちゃんの鏡に装飾のある窓。
非常に凝った旅館であることがわかる。
この廊下とか、各部屋に軒の造作を施した演出とか。
手が込んでる印象。
どうです。
風情あるでしょ。
で、旅館のチェックインを済ませて。
いつものごとく、夕食なしプランで宿泊しているので桜井駅前の浜鮨というお店へ。
ネットで調べるとここのお店が地元でも有名らしい。
まずは岩ガキのレモン塩。
海なし県の奈良県だけど、鮮度が良くて美味かった。
そしてヒラメやカンパチ、タコなどの寿司を注文。
ゆず塩で味付けしてあるのでそのままで食べてください。と。
カウンターで職人が握ってくれる鮨は美味い。
一人旅ながらちょっと贅沢な夕食だ。
そして桜井市の地元の酒造、今西酒造のみむろ杉の冷酒が進む。
奈良県と言えば吉野川の桜鮎だ。
吉野川で取れる鮎は吉野の1000本桜にちなんで桜鮎と呼ばれる。
この鮎の塩焼きでまた辛口の冷酒が進む。
アンコールにもう一品、鮎の塩焼きを注文。
ところが、鮎はもう品切れとのこと。
しめに岩ガキを焼いてもらった。
焼きガキは旨いよな。
地元で重宝される鮨屋というのもうなずける。
奈良県の桜井市って宿泊するほどの観光地ではないけれど。
カウンターの両隣のお客さんは東京から、埼玉からと旅行客が多いようであった。
さて、ほろよいで宿に帰ると、明かりが灯り、令和時代とは思えぬ佇まいであった。
さて、一晩明け、朝5時過ぎ。
朝日が差し込む宿の情景が美しかったので撮影。
早朝の旅館を出て、朝散歩。
朝日を浴びながらの旅館周辺を散歩。
駅前から少し離れると、かつては街道として賑わってであろう面影が残っている。
さて、宿に戻って朝7時。
朝食時間だ。
私のほかに宿泊客が3組ほどいるみたいだが、朝7時の朝食は私だけのようだ。
この食事会場の和モダンの雰囲気も特別感があっていい。
まるで偉い人になった気分だ。
こちらが朝食のメニュー。
すべてではないけど。
これぐらいがちょうどいいんだ。
朝からあれもこれもと食べれるものではない。
出されたものをしっかりと頂く。
出され過ぎはちょっと困る。
で、朝食後に女将さんが良ければ旅館を案内しますよと。
お言葉に甘えて案内をしてもらった。
こちらは亡くなったご主人が趣味として子供の事からカメラ愛好家だったそうで。
現像などもご自身で行っていたそうだ。
そして宿泊者が撮影した長谷寺や紅葉の談山神社など。
カメラ愛好家の写真が多く飾られていた。
そして、こちらが犬養毅元首相が首相になる前に宴会を開いた場所。
当時、この部屋は100畳敷きの大広間であったそうだ。
犬養毅はここで軍関係者と宴会をしたそうだ。
そしてこれが、犬養毅が残した直筆の書。
大正3年のものなのだそう。
犬養毅はその後、昭和7年5月15日海軍青年将校らに暗殺される。
いわゆる5.15事件である。
「話せばわかる」という言葉が暗殺直前の言葉として今でも有名である。
ちなみに日本最後のニホンオオカミの調査をしていた米国人動物学者のマルコム・プレイフェア・アンダーソンも東吉野へと向かう際にこの旅館 皆花楼(かいかろう)に宿泊をしている。
明治38年。
日本最後のニホンオオカミが地元猟師によって捕獲され、それを買い取ったアンダーソンがロンドンへと持ち帰り、毛皮の標本と頭骨はロンドン自然史博物館に収蔵されている。
このニホンオオカミが日本最後の1頭である。
5.15事件で暗殺された犬養毅、日本最後のニホンオオカミをロンドンに持ち帰ったアンダーソンと歴史に由縁のあるお宿 皆花楼(かいかろう)。
今回の旅はまだまだ続きますが、ひとまずは旅館 皆花楼(かいかろう)が素晴らしかったのでご紹介。
旅の続きはまた次回に。
ってことで今日はこれまで。
ではでは。