奈良公園の観光あるあるとして、観光客が鹿せんべいを購入したとたん、鹿による鹿せんべいおねだりで必要以上に大接近してくる鹿達。
そしてその鹿達に戸惑う観光客。
鹿せんべいを手にしたとたんに集まる鹿達の光景に誰しもが思う疑問。
それが「奈良公園の鹿はなぜ鹿せんべい屋を襲わないのか?」。
何か特別な細工でもしているのかなどとも思ったが、結論から先に言うとそれは・・・
しつけなのである。
何か細工をしている訳ではなく、奈良公園の鹿は鹿せんべい屋のしつけによって学習をしているのだとの事。
奈良公園の鹿には鹿せんべい屋やからせんべいを奪おうとする鹿ももちろんいる。
そのような鹿はせんべい屋の人が棒で追っ払ったり、頭をはたいたり、手を叩いて大きな音をたてたりして追っ払うのだとか。
そのような事を何回も繰り返しているうちに鹿達は学習をするのだろう。
鹿せんべい屋から購入した観光客からしか鹿せんべいはもらえない。
そのように鹿達は自然と学習をしているらしい。
奈良公園の鹿は赤信号では道は横断しない
どうやらそのような鹿の目撃が多いらしい。
鹿が信号の色を見て人間の交通ルールを理解しているはずがない。
が、実際にそのような個体も存在するのだそうな。
ようするに観光客の行動に同調をしているとの事。
観光客が道を渡らず止まって待っていると、同じように鹿も止まって待つ。
そして観光客が青信号で道路を渡ると、同じく鹿も道路を渡る。
どうやら鹿は周りの状況を判断し、危険回避をしているのだとか。
奈良公園の鹿はお辞儀をする
数年前から外国人観光客から奈良公園の鹿はお辞儀するとの事でYoutubeなどで話題になっている。
鹿せんべいを与える際にこちらがお辞儀をすると鹿もお辞儀をするのだ。
この光景は私も何度も見た。
これも鹿による学習なのだろう。
近年増えた外国人観光客の殆どがこの情報を知っており、お辞儀をしてから鹿せんべいを上げる光景は奈良公園のあらゆる場所で見かける。
もはや定着した行為なので、お辞儀をすると鹿せんべいがもらえるという事を奈良公園の鹿は知っている。
外国人観光客の増加で鹿せんべいの食べ過ぎの鹿もいるらしい
どうやら観光客の増加で消化しきれないほどの鹿せんべいを食べる鹿もいるらしい。
特に観光客の多いシーズンでは鹿せんべいに興味を示さない鹿が目撃されているのだそうな。
鹿からすれば鹿せんべいはおやつでしかない。
あくまでも主食は芝などの草である。
それが鹿せんべいでお腹が膨れたあげく鹿せんべいに見向きもしないなんて・・・
それはそれで問題になっているのだとか。
ならば鹿せんべい屋は儲かるのか?
少々興味があったので鹿せんべい屋の事を調べてみた。
いったい何時ごろから奈良公園で鹿せんべいを売るようになったのか。
どうやら江戸時代中期(1761年)に発行された「大和名所図会」という江戸時代の観光ブックに描かれた図絵に鹿せんべいらしい描写が残されているという。
江戸時代には鹿せんべいがあったらしい。
その後、何度か観光客の減少時期があり鹿せんべいの製造・販売は途切れているのだとか。
近代の鹿せんべいは1956年に戦争未亡人のための仕事として組織づくられたものとの事。
現在、奈良公園管理事務所の許可を得た約90名ほどの売り子がいるのだとか。
その9割は女性。
奈良公園内でいたるところで鹿せんべい屋を見かけるが、やはり場所により売り上げが違うらしい。
当然観光客が多い場所の方がたくさん売れる。
なのでローテンションで売り子の売り場が変わるらしい。
それぞれの売り子の売り上げを平等にするためなのだろう。
が、東大寺南大門前の一等地の売り場の売り子の権利は代々が引き継がれるとの事。
こんな場所にも利権があるなんて面白い。
鹿せんべいの売り上げの一部は奈良の鹿愛護会の活動費となり、鹿せんべいはそもそも鹿愛護会の運営のために始まったのだとか。
現在の鹿せんべいの製造元は現在5件ほど。
組合を組織していて、鹿愛護会の証紙のない鹿せんべいは公園内で販売出来ないようだ。
観光客が増えたらから鹿せんべい屋が儲かるのかというとどうやら自由競争ではないようだ。
まとめ
奈良公園の鹿は天然記念物に指定されており、野生の鹿である。
その野生動物(ある程度の管理はされているが)が人間とこれほど密接に接して暮らす奈良公園。
このような環境は世界でもきっと珍しいはず。
1300頭近く生存する野生のナラシカが沢山の人の活動を見て何を考え何を学ぶのか。
生物学としても面白い研究材料なのだと思う。
まぁそんなことを思う今日この頃です。