10年ほど前にマイケル・サンデル氏の著書「これからの「正義」の話をしよう」が大ヒットした。
「1人を殺せば5人が助かる。あなたはその1人を殺すべきか?」正解のない究極の難問を生徒に投げかけるハーバード白熱教室として話題となった。
先日、市立図書館から自宅の固定電話に電話があった。
大阪天王寺警察に私の図書貸出カードが落とし物として届いているのだそうだ。
その際に落とし物保管番号などを丁寧に説明をしてくれた。
さて、市立図書館の図書貸出カードは無料で再発行してもらえる。
合理的に考えれば地元の図書館で再発行を依頼する方が手間もお金もかからない。
が、しかし、私が落とした図書貸出カードを拾って、警察に届けてくれた人。
また、市立図書館に図書貸出カードを落とし物として保管している旨、連絡をした警察官。
そして、その連絡を私の自宅の固定電話に連絡をしてくれた市立図書館の司書。
これだけの善意の行為が繋がって私は落とし物を取りに行くことが出来る。
だが、天王寺まで電車賃往復380円。
移動時間約1時間30分だ。
地元の市立図書館で再発行をすれば、電車賃0円。
移動時間約30分だ。
家内に「再発行してもらおうと思う」と言ったところ。
「信じられん、せっかく届けて貰ってんのに!」と激怒された。
家内の言う通り、善意を無下にするのも気が引ける。
だが、取りに行ったとしても誰にも実利がない。
とはいえども、落とし物をして迷惑をかけたのは私。
合理的な選択ではないが、電車賃と時間を使って落とし物を受け取りに行こうと思う。
人間ってこういう選択をしてしまう時があるんだな。
なんか深く哲学的なことを考えた今日この頃です。